資源エネルギー庁は7月29日に、今年の5月25日に成立した電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律(通称:FIT法、詳しくはこちら)のうち、
再生可能エネルギーの調達価格及び調達期間の一部を改正する省令・告示を公布しました。
省令・告示では太陽光発電を含めた、水力発電、バイオマス発電等の再生可能エネルギー全般について触れられていますが、この記事では今回の改正で大きな変更があった太陽光発電を取り上げます。
今年の8月1日以降に送配電事業者(主に電力会社)と接続契約をする案件について、変更点が大きく3つあります。
1.10kW以上の太陽光発電について、認定取得から3年以内に運転を開始すること
2.1.について、期限を超過した場合には、調達価格の低減又は調達期間の短縮が行われる
3.パネルメーカーを変更しても、調達価格が変わらない
この3つが大きな変更点です。
この条件が適用される案件は、
①新認定制度(H29年4月1日以降)で認定を受ける案件及び
②既に現行制度で認定を受けた案件のうち、H28年8月1日以降に接続契約(連系承諾及び工事負担金契約を含む。)を締結する案件
これら案件について、上記1~3の条件が付与されます。
②の既認定案件については、運転開始期限(3年以内)の起算日は新認定制度の下で認定を受けたものとみなされた日としています。
また、10kW未満の太陽光発電についても、認定取得後速やかな事業開始が明示され、認定取得から1年を過ぎても運転が開始されない場合は、再度認定を取得することになります。(1年で認定が失効する取扱いとなるため、単価は流れます)
この点が10kW以上との違いです。
さて、ここまではH28年8月1日以降に接続契約(電力会社との契約)を締結する案件が対象でしたが、
これまでに認定を取得し接続契約も締結している案件、あるいは運転開始済みの案件については、どう変わるのでしょうか。今回の省令・告示でも触れられています。
まず前提として、上記1~3の変更点は、8月1日以降に接続契約をする案件が対象のため適用されません。
運転開始期限は設けられませんが、パネルメーカー変更等による変更認定時には、これまで通り単価は変更認定が降りてきた時点の単価に変更されます。
ただし、そうした案件についても新認定制度の下で認定を受けたものとみなされるとしています。(「みなし認定事業者」)
そのため、新制度において認定案件を抱える事業者が遵守すべきとされる事項については、原則、同様に守らなければなりません。
さらに「みなし認定事業者」については、「原則、改正法の施行(H29年4月1日)後、経産省が定める期間内に、一定の書類を提出しなければならない」とされています。
提出期限は、「新認定制度の下で認定を受けたものとみなされた日から6ヶ月とする」とも記載があります。
では、「認定を受けたものとみなされた日」「一定の書類」とは具体的に何時で、どのような書類なのか。
電話にて、資源エネルギー庁にヒアリングを行いましたが、
「具体的な書類、認定日等についてはこれから」とのことで、詳細は今後決めていくそうです。
とりあえず、8月1日以前に接続契約をしている案件については慌てなくても大丈夫そうです。資源エネルギー庁からのアナウンスを待ちましょう。
資源エネルギー庁
電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令について
平成28年8月1日以降に接続契約を締結する太陽光発電の運用変更について
調達価格の入札制度制の導入や、今回のFIT法改正による大きな変更など、再生可能エネルギーは慌ただしさを増しています。
再生可能エネルギーの先進地域であるヨーロッパでは、FITが終了し新しくFIP(フィード・イン・プレミアム)が数年前から始まっている国も存在します。
再生可能エネルギーに関して、ヨーロッパの後を追ってきた日本も、この動きにおそらく今後も追従していくでしょう。
ということは、これまでの投資目的としての意味合いが薄れることは明白で、一般的な商品と同様に市場で価格が決定されることにより、近い将来社会にとって本当に価値あるエネルギーであるかどうかを私達が判断するようになります。
今回の法改正と共に、私達の思考もシフトしていかなければなりません。転換期はもうすぐそこです。