農業を基点に据えたソーラーシェアリング
2013年から始まったソーラーシェアリングは、いま転換期を迎えています。
当初のFIT前提の事業モデルから、脱炭素および地域の持続可能性といった目線に変化し、オフサイトやマイクログリッドでの活用、食とエネルギーの地産地消、農福連携、六次産業化など単なる発電所の枠を超え地方創生を叶えるプロジェクトの1つとして認識されています。
外部環境が変われど、農業が根幹であることに変わりはなく、時代に合わせた農業中心のソーラーシェアリングがスマートブルーの強みです。
スマートブルーの強み
ソーラーシェアリングのパイオニア
弊社は農林水産省から通知のあった2013年からソーラーシェアリング事業を始め、同年に初号案件を契約以降、現在まで全国で数多くの実績を積み重ねてきました。導入作物は日照が必要な作物から日陰でも育つ作物まで、田・畑、耕作放棄地の再利用、斜面など多種多様な作物および環境での導入実績があります。
大学との共同研究も多品目かつ長期間取り組んでおり、学術的な知見も有しています。
近年は自治体や企業様からのお引き合いを多くいただき、脱炭素や地方創生の実現をお手伝いしています。
多様な作物での実績
ソーラーシェアリングの下部では、榊やミョウガなど日陰でも育つ作物が栽培される事例が多いです。弊社も榊、ミョウガ、原木シイタケ、タマリュウといった事例がありますが、イネや葉物野菜、果樹といった日照を必要とする作物での実績も数多く、30品目近い作物での導入実績および意見書発行実績があります。
太陽光パネルの影が圃場に落ちることから、日照が必要な作物は適さないと思われがちですが、設計や営農方法の工夫で日照が必要な作物でも十分な収量を確保できています。
多様なニーズにお応え
ソーラーシェアリング検討の動機は脱炭素、再エネ調達、耕作放棄地の解消、地方創生など様々かと思いますが、弊社はオーダーメイドソーラーシェアリング、各種コンサルティング、土地活用の3つのサービスで、幅広いニーズにお応えできる体制が整っています。 ソーラーシェアリングの老舗としてご要望を叶えます。
脱炭素
再エネ
耕作放棄地解消
雇用創出
地方創生
SDGs
- 地域脱炭素や耕作放棄地解消、雇用創出、産業誘致などを実現したい自治体様に
- 脱炭素経営や再エネ調達、事業組成で行き詰まっている、専門家の知見が欲しい企業様に
- 農地の活用でお困りの農家様に
様々な農地条件での施工実績
ソーラーシェアリングを設置する農地は大きく田んぼと畑に分かれますが、完全に同じ条件の農地は1つしてありません。荒れ果てた耕作放棄地、斜面、緩い地盤、杭が入りづらいなど、農地にはそれぞれ違った条件があり、弊社は様々な条件下での施工実績があります。農地条件に合わせ柔軟に施工方法を変えることができます。
田んぼ
畑
耕作放棄地
斜面のSS
初期検討からアフターフォローまでワンストップ
ソーラーシェアリングの導入に関するすべての業務をワンストップで対応できます。検討農地の調査、農業委員会への打診、事業計画の策定、営農計画の策定、設計、電力申請、FIT・FIP申請、農地一時転用許可申請、工事、メンテナンス、収量報告、農地一時転用許可更新申請、弊社にお任せいただければ、すべての行程がワンストップで完結します。
グループ内に農地所有適格法人と協会
弊社グループ内には農地所有適格法人であるスマートグリーン株式会社と、第三者機関として一般社団法人全国営農型発電協会を有しています。スマートグリーンは主に自社圃場での営農を行っているほか、対応可能であれば下部農地での営農や営農者の斡旋をしています。全国営農型発電協会は知見を有する団体として、意見書の発行や大学との共同研究を行っており、スマートブルー一社だけではなく、多方面にわたるソーラーシェアリングのネットワークを構築しています。
100件以上のメディア掲載実績
ニュース 環境ビジネス
オンライン 東洋経済
オンライン 時事ドットコム Number Web 産経ニュース ダイアモンド・
オンライン PRESIDENT
Online
など
弊社は静岡県内初の稲作ソーラーシェアリングを設置した際に、テレビ局数社から取材を受けたほか、以降も新聞や雑誌、インターネットと数多くのメディアへの掲載実績があります。一般紙だけでなく、農業系新聞、雑誌、農業系メディアにも取り上げられ、農業分野からの注目も集めています。
ソーラーシェアリングの新しい活用方法を提案する「スマートブルー磐田農場」の開所式の際には、複数の地元テレビ局と新聞社からの取材を受けたほか、インターネット上で大手メディアにも掲載されるなど、ソーラーシェアリングの発足当初から現在に至るまで、継続的にメディア掲載の実績があります。
大学との研究実績
静岡県立大学
静岡県立大学とは、弊社の静岡県中部の稲作一号案件において、2014年から2019年にかけて気象環境の測定と玄米の量と質の調査をしました。ソーラーシェアリングは2013年から始まった新しい事業であり、長年の研究データは珍しく貴重です。
作物
水稲
遮光率
約30%
期間
2018年〜2019年
研究項目
光強度・日射量・気温・葉の表面温度・玄米重量・玄米品質 など
結果概要
- 日射量は遮光率に比べ少なかった。遮光率で表し切れていない支柱などの影響だと思われる。
- 平均気温は、太陽光パネル下で対象区より1℃低かった。
- 葉の表面温度は、影部で2〜3℃低下していた。
- 収量は15%程低下した。
- 品質はタンパク質含有量がやや高く、未熟米の割合が高くなった。
得られた知見
- 収穫時点でまだ成熟していない可能性があり、収穫時期を遅らせられれば、収量の低下をある程度緩和できる可能性がある。
- 2年目に施肥量を控えたところ一定以上の減収となったため、施肥量の調整は通常よりも重要である。
- 他大学との共同研究において、収量80%以上を確保するためには遮光率を20〜30%に留めるべきとの結論が得られている。
- 水稲では明らかに収量が減少する一方、施肥量や収穫時期の先延ばしによって、ある程度収量減を抑えられる可能性がある。また、平均気温の低下は夏場の不稔発生を緩和し、高温による作業者の作業効率低下を抑えることも期待できる。
東京大学
東京大学とは大学内の圃場に太陽光パネルを模した板を圃場上空に設置した実証実験を行い、複数の作物の研究成果と知見を有しています。水稲を2016年から現在まで、アシタバを2019年〜2020年まで、サトイモを2021年とそれぞれ研究しています。
作物
水稲・アシタバ・サトイモ
遮光率
[水稲] 強遮光区・弱遮光区・無遮光区の3区画
[アシタバ] 約30%
[サトイモ] 強遮光区・弱遮光区・無遮光区の3区画
期間
[水稲] 2016年〜
[アシタバ] 2019年〜2020年
[サトイモ] 2021年
研究項目
[水稲] 草丈・穂数・分げつ数・玄米の外観形質分析と成分分析
[アシタバ] 地温・受光量・葉茎根の重量、高さ、幅 など
[サトイモ] PPFD・地温・草丈・葉数・重量・個数・葉柄部重量 など
結果概要
-
水稲
- 遮光条件は草丈と葉色には影響を及ぼさない一方で出穂遅延を引き起こし、収穫時の穂数を減少させることが示唆された。
- 日射量において、死米発生割合と未熟米発生割合、タンパク質含有量の相関関係が見られた。
-
アシタバ
- 遮光および堆肥を施した区画で、他よりも良好な生育が得られた。
- 雑草防除にマルチの代わりに反射シートを活用したことで、光合成を促し収量の増加が望める。
-
サトイモ
- マルチ区では強遮光区→弱遮光区→無遮光区、反射シート区では強遮光区→無遮光区→弱遮光区の順に収量が多くなった。
- マルチ区・反射区のどちらにおいても強遮光区→弱遮光区→無遮光区の順に地温が低くなった。
- 収量において強遮光条件と平均地温で優位性がみられた。
得られた知見
-
水稲
- 遮光率20%前後であれば、農林水産省の定める収量8割以上で著しい品質劣化が生じていないという要件を満たせる。
- 遮光条件によって品質の劣化と減収がみられるため、水稲移植日の早期化のほか、収量に大きく係る水稲生育初期の日照量を確保するために太陽光パネルの高度を高くすることや設置角度を変更する等の策が有効であると考えられる。
-
アシタバ
- 堆肥による地温の増加と反射シートによる防草を行うことで、冬季にもアシタバの生育を促進でき増収が見込める。
- かつ太陽光パネルを両面発電のものを使用することで、発電量の増加も見込める。
-
サツマイモ
- 遮光と地温が収量に影響を及ぼす。
- 遮光は収量に負の影響を、地温低下は正の影響を与え、遮光による地温の低下が収量を増加させる要因と考えられる。
愛媛大学
愛媛大学とは静岡県立大学や東京大学と行っているソーラーシェアリング下での作物の生育調査ではなく、ソーラーシェアリングの普及施策の展開における地域への社会影響評価の調査を実施しました。
期間
2017年
結果概要
ソーラーシェアリングの普及政策が与える社会的影響について分析した。多くの地域ステークホルダーは、ソーラーシェアリングに対してエネルギー安全保障などのポジティブな影響を予測していた。ネガティブな影響の緩和のためには、農業経営者に与える経済面の良い影響や農業慣行の具体例に関する情報を提供するなどの対策が効果的と考えられた。
全国自治体との連携事業
静岡県営農型太陽光発電の高収益農業の実証実験
静岡県の経済産業部が主導し2018年~2019年にかけて実施された実証実験に、発電設備事業者として参画しました。ソーラーシェアリングの高収益農業に適すると想定されたお茶、キウイ、ブルーベリーの3品目で実験を行い、弊社のいわた農場がブルーベリーの実証実験圃場として活用されました。
成果
実証実験の成果として、お茶においては生育を阻む凍霜害の発生を抑制し、生育の促進がみられました。キウイは太陽光パネルの遮光による収量および品質への影響はみられず、ブルーベリーでは適度な遮光環境であれば、収量や品質に大きな影響は与えないと言える結果が得られました。
適応作物事例へ千葉県X市
同市の環境部と大手重工業企業とのつながりから、同市の脱炭素化に向けたお話しをいただきました。同市は脱炭素の課題に加え、農地面積の減少や耕作放棄地の拡大も深刻化しており、ソーラーシェアリングがこれら課題を解決するための最適なソリューションと判断しました。
ソリューション
まずは、耕作放棄地を再生した小規模なソーラーシェアリングをモデルケースとして導入し、徐々に規模を拡大していく計画を進めています。作物はブルーベリーのほかに、同市の特産物を検討しています。
将来展望
将来的には地域新電力を通し、市内の施設にソーラーシェアリング産の再生可能エネルギーを供給することを目指しています。
新潟県X市
同市内のとある地域において相当量の耕作放棄地があり、地元自治会で対策を模索している中でソーラーシェアリングに行き当たり、大手金融サービス業企業と地元企業を通してお問い合わせをいただきました。ソーラーシェアリングの導入実績やコンサルティングの実績から、弊社にお声掛けいただきました。
ソリューション
弊社からは、相当量ある耕作放棄地のうちの約5haを活用した大規模なソーラーシェアリングを構想しています。作物はサツマイモやスイカを検討しています。
将来展望
設備下部での営農には地元の農業法人が入り、ソーラーシェアリングを活用した耕作放棄地のさらなる解消も期待できます。
発電で得られる再生可能エネルギーは、X市の公共施設への供給を目指しています。
岩手県X市
以前より弊社が資本参加する同市の農業法人の収益安定化に向けて、同法人の所有農地の有効活用を模索。同法人は近くの地熱発電所から得られる熱水を活用したハウスを2haほど要し、気候条件から岩手県内では前例のないバジルの生産を行っています。地熱発電所の排熱利用ハウスとしては国内初の事業で、耕作放棄地を再生し地元生産者の雇用も生み出しています。
ソリューション
所有農地を活用したソーラーシェアリングの導入を提案。作物には同法人が現在も栽培しているバジルのほか、同市の奨励作物であるトマト、ニンニク、リンドウなどを検討しています。
将来展望
同法人のバジル生産事業は市がバックアップしていることもあり、発電で得られる再生可能エネルギーを同市の施設に供給していくことを計画しています。
この他にも複数事業が進行中
スマートブルーが選ばれる理由
スマートブルー独自の取り組み
スマートブルーは”農業”で儲かるソーラーシェアリングと、日本独特の小さい農地にマッチしたソーラーシェアリングに取り組んでいます。ソーラーシェアリングの架台を利用して簡易的に温室ハウスの環境を整え、作物の栽培環境をICT機器で24時間監視、遠隔での制御も可能です。ハウス内では高単価な作物を栽培することで、効率的な農作業で高付加価値な農業の実現に挑戦しています。
日本の農地は戦後の農地改革により、細かく筆分けされたまま現在に至ります。近年は農業の効率化が叫ばれ、農地の集約が進んでいますが、中山間地域などの集約が難しい地域が数多く存在します。
スマートブルーはそうした地域にこそソーラーシェアリングが必要だと考えています。集約のできる農地においては、効率的な農業の実施という面でソーラーシェアリングはむしろ不向きです。そうした地域では大きな機械を使った効率的な農業を行うことが望ましいです。逆に集約の難しい中山間地域の農地、市街地に近い農地、自宅横の農地などにソーラーシェアリングを設置すれば、農地に発電スポットという新たな付加価値を与えることができ、コミュニティの形成や非常時の防災拠点にも活用できます。
ソーラーシェアリングが普及しつつある今だからこそ、過度な乱立ではなく、地域に根差した地域と共生する選択が、これからのソーラーシェアリングのあり方です。