浜松農場
マコモダケ×一本足ソーラーシェアリングという新たな可能性
耕作放棄地問題に確かなソリューションを提供
静岡県浜松市浜北地域の田園地帯に2024年に開所した、今後数十年にわたるソーラーシェアリングのカタチを提案する新たな自社農場です。
パネル下では近年研究を続けてきたマコモダケを栽培し、架台には設置位置の自由度の高い一本足架台を採用した、ソーラーシェアリングの先進型モデル農場です。
所在地 | 静岡県浜松市 |
作物 | マコモダケ |
遮光率 | 67.5% |
発電容量(AC) | 92.8kW |
年間発電量 | 約117,000kWh |
土地面積 | 2,040㎡ |
営農者 | スマートグリーン株式会社 |
開所年 | 2024年 |
本事業の特徴
従来のソーラーシェアリングの問題を解消した新たなカタチ
当農場は一本足架台ソーラーシェアリングのフラッグシップ農場です。部材数が少なく独立性が高い構造が特徴で、従来のボックスを繋ぎ合わせたいわゆる藤棚型で近年問題視されていた、連鎖倒壊のリスクを抑えることに成功しました。
また、圃場内のどこに設備を設置するかという設置の自由度が高く、当農場では北と南に一棟ずつ設置しています。営農のスペースを広く確保できることで、作物の選択の幅が大きく広がるため、今後のソーラーシェアリングのスタンダードとして発信していきます。
水田の反収増の可能性を秘めるマコモダケ
耕作放棄地の増加は社会問題となって久しく、米価の下落によるビジネスモデルの弱体化が顕著な水田では特に深刻です。こうした水田の活用策として、当農場では「マコモダケ」を提案します。
マコモダケは「マコモ」というイネ科の植物の茎が肥大化したものを指し、イネと同様に水田で生育します。現在は耕作面積が少ないことから流通量は限られていますが、古くから中華料理ではメジャーな野菜で、飲食店からの引き合いの多い作物です。
売上は水稲と比較して数倍の反収が見込め、水田の反収増の可能性を秘めています。
再エネの使用が地域の課題解決に繋がる
当農場で発電された再生可能エネルギーは、株式会社UPDATER様が提供するクラウド型ソーラー発電サービス「ピーパ」によって、需要家様に届けられます。「ピーパ」は、個人の需要家がサービス登録されている発電所から、自分が使用する電気を選べるサービスです。
耕作放棄地問題を解消したい」「マコモダケを地元の特産品にしたい」「再エネをもっと自由に使えるようにしたい」そうした思いに共感いただいた需要家様が、電気の使用を通して地域の課題解決にともに取り組んでいただけるつながりを生み出します。
農地管理の負担を解消し地域農業の活性化に寄与
当農場は地権者様からのSOSから始まりました。ご両親から水田を引き継がれた地権者様は非農家であることから、その管理は経済的な面も含め悩みの種でした。そこで選択された解決策がソーラーシェアリング用地としての貸し出しで、支出だけだった農地が現在では賃貸収入が得られる農地に変貌しました。
加えて、農場の開所以前よりマコモダケの収穫イベントを開催しており、多くの地域の方々にご参加いただいています。地域に愛される農場として、また、浜松の新たな特産品としてマコモダケをブランディングしていくことで地域農業の活性化に貢献します。
ソリューション
真に価値のある再エネの創造
脱炭素時代にあって、再エネの価値は高まるばかりです。ただ、その価値は一様ではないと考えます。山々を切り開いた発電所由来の再エネと、地方創生や農業振興に寄与する発電所由来の再エネでは、その価値は異なるはずです。真に価値のある再エネを提起します。
周辺地域と遠方の需要家とのつながり
農業従事者の離農と同じく農地も年々減少する中、地域のつながりも以前より希薄になっています。農場での収穫イベントのほか、各種イベントへの屋台出店、またピーパを通した電気の販売によって、地域住民そして需要家の皆様とのつながりを生み出します。
水田の反収増による耕作放棄地の解消
反収減によるビジネスモデルの弱体化が進む水田に、マコモダケを提案します。水稲に比べ数倍の反収が見込め、経営の安定化を図ります。ビジネスモデルとして収益化が確立することで、荒地がマコモダケ圃場に置き換わり、耕作放棄地の解消に貢献します。
作物の生育・出荷状況
マコモダケは5月頃に1本ずつ手植えによる田植えをして、10月頃に収穫できる秋が旬の野菜です。収獲も最適なタイミングで1本1本丁寧に収獲しています。収穫時期は約3週間ほどで限られており、なかなか手に入らない幻の食材とも言われています。
そんなマコモダケは油との相性が良く、火を通すとほのかな甘みが出てくるので、天ぷらや炒め物に最適です。もともとは中国からやってきた中国野菜でもあるので、中華料理に入れて本格中華を楽しめるのも大きな魅力です。
生産されたマコモダケは市内の飲食店やJA直売所に出荷されています。プロの料理人が調理するマコモダケは絶品で、期間限定の料理を目当てに多くのお客様が取り扱い店舗に足を運ばれています。
農産物の販路
- 浜松市内の飲食店
- JA直売所
- ネット販売
- 収穫イベントでの販売
このほか規格外品を活用することによる食品ロスの低減と通年でのマコモダケ商品のご提供を目的に、マコモダケを原料にした6次化商品の開発に取り組んでいます。
農場設備
一本足架台
弊社では初の試みとなる一本足架台を採用したソーラーシェアリングです。全国的に見ても珍しい事例で、連鎖倒壊を未然に防ぐ次世代型として注目されています。そして農業面にも大きなメリットがあります。それぞれの架台が独立しているため設置位置の自由度が高く、使用する農業機械や栽培作物に合わせた柔軟な設計が可能で、営農効率を維持できます。
両面発電型パネル
近年両面発電型パネルの性能が向上していることを受け、浜松農場でも両面型パネルを採用しました。両面型パネルと水田は相性が良く、栽培期間中は常に水を張っているため水面からの反射による発電量の向上が期待できます。下からパネルを見上げると、反射した水面(みなも)が揺れている光景が見られます。