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生産緑地の2022年問題に対して地主の私が今から考えること

水曜日, 1月 17th, 2018
生産緑地の2022年問題とソーラーシェアリング

※2018年8月加筆・修正

 

生産緑地の2022年問題が近頃話題になっています。

2022年に生産緑地から多くの農地が除外されることで、農地の宅地化が急速に進み、

地価が暴落するんじゃないか、とか

都市農業の衰退が加速するんじゃないか、とか

政府がその対応を始めたけれど、その程度じゃどうしようもない、とかとか。

色々議論がされていますが、どれも第三者的な目線で、

現在生産緑地をもっている私達は、2022年に向けてどうしたらいいのか

という議論があまり活発でない気がしています。ということで、今回は「地主目線の生産緑地2022年問題」を取り上げます。

 

まず生産緑地の2022年問題とは?

1992年に不動産バブル崩壊後、農地面積の縮小を危惧した国が農地を守る観点から、住宅地にある農地に対して、

生産緑地に登録した農地の固定資産税や相続税を優遇する、という施策を行います。

この登録の期間は30年、つまり1992年に登録した生産緑地は2022年に期限をむかえます。

期限をむかえた農地は、基本的に自治体が買い取ることとなっていますが、

現実は予算不足等の理由から、これまで買取が実施された例は限られています。

そうなると、税の優遇措置を受けられなくなった税負担の重い農地を手放す地主が急増し、

新たに宅地造成された元農地が市場に溢れかえることで、

地価が暴落すると予測されています。

また、農地が持つ地盤保全や保水という災害対策の特性が地域から失われることで、

災害に弱い街になってしまう、という懸念もされています。

 

政府の対応

こうした事態をできるだけ避けるために、国は2017年6月に

30年の期間を過ぎても、10年毎に生産緑地を更新できるように法を改正しました。

また、農地内での農作物の直売所や農家レストランの設置を可能ともしました。

しかし、従事者の高齢化と担い手不足が叫ばれて久しい農業にとって、

30年前に生産緑地に指定した農地の耕作者が、さらに10年間継続して耕作できるのか、

できなくなった場合の後継ぎや担い手はいるのか、

直売所やレストランを設置・運営する費用、経営の計画、体力とやる気が続くのか、

こうした問題からは逃げることができません。

国の対応は場当たり的で、根本的な解決には程遠いということです。

 

地主の私が今から考えること

プラン1 生産緑地として維持

まずは生産緑地として維持し続けるのかどうか、あるいは維持できるのかの判断をすることです。

愛着のある農地、代々受け継いできた農地を手放したり、賃貸アパートにしたりすることは、

相続対策や金銭といったメリットがあるとはいっても、葛藤が伴います。

本当に不動産屋が言うような入居者や賃貸料があるのかについても、

現在の日本社会を考えれば熟考の必要があります。

30年を経過しても10年延長して指定を受けることができるようになるので、

自分や代わりに耕作してくれる人がいるのなら、農業を続ける選択肢は現実的です。

住宅街の癒やしの場としても、近所の方たちにも好意的に受け入れられるはずです。

 

プラン2 宅地造成

宅地造成後は宅地として売買するパターンと、土地は売らずに賃貸アパートを建てるパターンがあるかと思います。

この2パターンでも、これまでの事例を見ると賃貸アパートを選択する傾向が強い、という統計があるようです。

大きな借金を背負うことでの相続対策や、土地を手放したくない思いが背景にあるのではと思います。

宅地として売れば一度に大きな金額が入り、アパートでも相続対策ができて、長期に渡り賃料が期待できるといったメリットがありますが、不動産リスクも当然考慮しなければなりません。

これから人口が減ることはあっても増えることはない日本にあって、空き家の問題も深刻な日本にあって、

今後どれだけの不動産需要があるかはわかりません。

分譲住宅がずっと売れ残ったり、アポートはずっと空室になってしまったりと、空き家問題に拍車をかけることになりかねません。

不動産には特別詳しいわけではありませんが、宅地造成する際は、自分の生産緑地が不動産としてどれだけの価値がありそうなのか、

本当に不動産屋の言うように入居者や購入希望者といった需要がありそうなのか、

事前によく確認する必要があります。

 

プラン3 2022年より前に宅地造成する

生産緑地は30年の期間が経過する以外に、

・地主や耕作者の病気や、身体的に耕作ができない状態が原因で農業の継続が困難な場合

・地主の死去により相続した者が、農業等を営まない場合

は、生産緑地の指定除外申請を行うことができ、自治体が買い取らず、担い手が見つからない場合は、指定除外となります。

2022年まで待って売買やアパートにするよりかは、より高い価格で取引できる可能性があるでしょう。

実際にこれまでも、30年の期限を待たずして指定を除外し、宅地として売却した例は少なくありません。

宅地造成を考えていて、上記のような理由付けができるのなら、指定除外も十分に考慮の対象です。

 

プラン4 ソーラーシェアリングの設置

さて、ここからは弊社の宣伝です。

ソーラーシェアリングとは、農業を続けながら太陽光発電の売電事業による収入を得る取り組みです。

農業を続けることが前提なので、指定解除後は宅地造成したい!

という方向けではありません。

水稲・稲作ソーラーシェアリング

 

こんな方におすすめ

・2022年後も生産緑地として農業を続けたい

・税負担は軽いままにしたい

・農業は続けたいが、収入に不安がある

・農業は続けたいが、後継者や耕作してくれる人がいない

 

ソーラーシェアリングのメリット

農地として維持したままなので、税負担はこれまで通り。

太陽光発電の売電収入が年間約110万円(1反水稲栽培・2018年4月現在の法による)入り、これが20年間続きます。

宅地として売ってしまうと、入ってくるお金は1回こっきり。トータル金額も桁が一つ違うレベル。

アパートにしても、入居者の不安は皆無。常に満室の状態で、天気が良ければシミュレーションの120%の収入も。

加えて、アパート1棟建てる1億の費用リスクも約10分の1。

農地の癒やし機能や災害に強い特性はそのままなので、周辺住民からも理解が得やすいでしょう。

「アパートが建ったおかげで、日陰になった」「土地の価値が下がった」なんて陰口を言われることもありません。

いい事づくしのように書いていますが、もちろん導入への障壁や考慮しなければならないことは数多くあります。

例えば、太陽光パネルやそれを支える支柱に注いだ太陽光が、反射して眩しいという「光害」が発生することもあるので、

隣地住宅とは十分に離隔を取る必要があります。

 

生産緑地とソーラーシェアリング

そしてもう一つ重要なことを。

現在はまだ、生産緑地でのソーラーシェアリングは認められていません。

全国規模で調査したわけではありませんが、少なくとも静岡県内ではどこの市町村でも認められていません。

よくある理由としては、農業を行うための生産緑地で太陽光発電は行えない、というもの。

農地を保全する名目のある生産緑地でソーラーシェアリングを行うことは、生産緑地の本来の意味を失っている、ということのようです。

生産緑地の指定除外を行えば、ソーラーシェアリングの設置も可能ですが、

それでは税の優遇措置から外れてしまうので、何の意味もありません。

しかし、本当に農地の保全が生産緑地の目的なら、20年間の耕作が義務付けられているソーラーシェアリングこそ、うってつけではないでしょうか。

個人的には、ソーラーシェアリングがまだ始まって数年の取り組みで市民権がないことが、真意ではないかなと思っています。

昨年の6月に、政府が生産緑地の利用方法を緩和したように、2022年までには法改正とまではいかなくとも、

慣例的にでもソーラーシェアリングが生産緑地で可能となっているよう、我々ももっと頑張って参ります。

 

まとめ

「地主目線の生産緑地2022年問題」と銘打って、生産緑地を持つ地主は2022年までに何をするべきなのか、を紹介いたしました。

プランを4つ挙げましたが、大事なのは今の自分や家族、家庭にとって何がベストなのかを家族全員でよく相談し、不動産屋や役所、農協、銀行、税理士等々とも相談をすることです。

参考として、統計上は農地としての維持を検討している割合が3~4割、宅地造成が1割弱、残りの5~6割ほどはどうするか検討しているそうです。

思っていたほど宅地造成の割合は高くないようです。

どんな選択をするにしてもメリットとデメリットがあり、第三者的な視点からよく考えを巡らすことが最も重要だろうと思います。

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